本開発は,流動材を地中に圧入する静的締固め工法による地盤改良と同時にCO2を地中に貯留する技術の実用化を目指すものである。流動材は,セメントを使用せず,排ガス由来のCO2と副生成物由来のカルシウム源から合成した軽質炭酸カルシウムを混合した環境配慮型流動材である。本検討では,流動性が得られる配合の範囲と力学特性を調べ,また,硬化後の流動材は,365日後も環境に対する安全性が維持されていることを確認した。CO2排出量とCO2貯留量について試算し,軽質炭酸カルシウムを混合するとCO2排出量はマイナスとなり,CO2貯留量は106~170kg-CO2/m3となることを示した。また,強制拡幅と圧入締固めを併用する新しい流動材圧入静的締固め工法を提案した。強制拡幅治具を使用してセメントスラリーを圧入し,極めて小さな圧入圧力であっても改良径400mm以上を確保できることを確認した。