2008 年 3 巻 4 号 p. 295-305
本論では,ペット樹脂廃材を岩石の粉砕粒子と適量混合し,接着剤として再利用することにより,岩盤表面の外見を損なわない岩接着工の開発を試みる。室内実験等では,ペット樹脂廃材と岩石粉砕粒子の混合比率や粒子の大きさに留意して,斑晶の大きさと色合いが異なる4種類の岩石について,接着剤としての混合物を作製し,強さや付着力および外見的な状態を調べた。その結果として,強さと外見の両面で最適となる混合比率と粉砕粒子の大きさを設定できることが分かった。このため,最適条件を備えた混合物を接着剤として使用し,自然岩盤での岩接着を試験的に施工して,その効果や施工上での問題点を検討した。総括的には,本論で提示する岩接着方法は,十分な付着強さを期待でき,一部の岩種への適用を除いて,自然岩の外貌を損なわないものであることが分かった。