1964年の新潟地震以来,液状化時の地盤の流動に起因する橋梁や建物の杭基礎の破壊事例が多数報告され,被害メカニズムや対策工についての様々な調査研究が行われてきた。実際に被害が発生した地盤の多くは,植生や舗装,路盤処理または年代効果や不飽和サクションによってある程度固結した非液状化層で覆われている。このような透水性が小さく液状化流動時にも剛性を失わない地表面非液状化層は液状化の継続時間を拡大するのみならず,杭基礎に作用する外力を増大させる直接的な効果があると考えられる。しかしながら,液状化時の地盤流動による杭基礎に作用する地盤外力,特に地表面非液状化層の影響はこれまで十分に検討されていないのが現状である。
本研究では,杭基礎,液状化地盤および地表面非液状化層との相互作用に着目し,液状化傾斜地盤における地盤流動によって生じた杭基礎に作用する地盤外力挙動を明らかにすることを目的とし3タイプの模型地盤に対して1g場振動台実験を実施した。その結果,液状化流動中の杭基礎に作用する地盤外力は,地表面非液状化層の存在により液状化流動地盤のサイクリックモビリティーが助長され,増大する傾向にあることがわかった。