本研究は, 法医剖検例から独居死と精神疾患の関連における特徴の再現性やその変化を調べることを目的とし, 第1報後の3年間にわたって実施された剖検例について調査を行った.剖検例2016件のうち, 独居死群は650件, 精神疾患者群は181件であった.65歳未満の独居死において, 既報と同様に中毒(自殺疑いを含む)及び自殺の割合が, 非精神疾患者群に比べ, 精神疾患者群で高い割合となった.また, 病死及び自然死以外の死因(非病死)を検討した結果, 精神疾患者群では, 非精神疾患者群の2倍以上の割合であった.
本研究において, 独居死における精神疾患者群で, 死因として中毒及び自殺が多いこと, また, 精神疾患者群での非病死率の高さから, 精神疾患が日常生活における判断力や行動に影響を与えている可能性が推察された.このことから, 今後の独居死対策の1つとして, 精神疾患者への対応がその指標となりうると考える.