2026 年 22 巻 2 号 p. 66-78
本研究の目的は,児童・生徒および保護者との関係を端緒とする我が国の学校教員の職業性ストレスの世代間差異を実証的に検証することである.Web調査から得た792人の有効回答を「若手教員群(39歳以下)」と「ベテラン教員群(40─59歳)」に分け解析した.両群とも「児童・生徒同士のトラブル」に起因する負荷が「心理的安全性」に影響していたが,「心理的安全性」から心身のストレス反応へと至る経路に相違が見られ,「ベテラン教員群」のみ,「心理的安全性」が「イライラする」を低減する直接効果が示された.一方「若手教員群」は,児童・生徒に対する「特別な支援や配慮」が必要な場合に「職場のサポート」を獲得しやすいものの,それは「心理的安全性」の向上には結びつかないことが示された.学校教員のストレス低減には,「ベテラン教員群」は身体的負荷を,「若手教員群」は心理的安全性の担保を重視した,世代相応の心身の支援が必要である.