医療看護研究
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Print ISSN : 1349-8630
研究報告
日本人妊婦を対象とした非侵襲的ヘモグロビン測定機器開発にむけての基礎研究
鈴木 紀子清水 三紀子伊藤 裕安山本 直樹髙橋 眞理
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2017 年 14 巻 1 号 p. 30-34

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抄録

 目的:妊娠貧血は早産、低出生体重児のリスクを高める。非侵襲的ヘモグロビン測定器Pronto-7は、採血せずにSpHb値を測定できる。しかし筆者らの先行調査では、妊娠後期の血液Hb値よりSpHb値が高くでるケースがあり、その要因には妊婦の生理学的変化が考えられた。そこで日本人妊婦に活用できる非侵襲的ヘモグロビン測定機器開発にむけた基礎データを得るために、日本人の妊婦と非妊婦の血液成分の相対拡散反射吸光スペクトルを比較検討することを目的に測定を実施した。

 方法:合併症のない妊婦8名(妊婦群)及び非妊婦8名(非妊婦群)の計16名。血液サンプルを遠心分離にかけ血球層を300uL採取し、相対拡散反射法によるスペクトルを比較分析した。

 結果・考察:妊婦群と非妊婦群の測定波形を比較した結果、750~800nmの波長域にて妊婦の半数に特有のピークが出現し、非妊婦群には出現しなかった。この特有ピークはデオキシヘモグロビンの吸光度におけるピークに類似していると考えられ、これが妊婦のPronto-7の測定値が高い傾向となる結果に影響を及ぼす可能性があると推測された。今後はこの波形の原因の精査と対象数を増やし、さらなる検証が必要であることが示唆された。

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© 2017 順天堂大学医療看護学部
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