目的:「がん患者の主体性を育み活かす看護実践のための外来看護師育成プログラム」試行版を開発し、有用性と施設での運用可能性を明らかにする。
方法:1)試行版プログラムの開発:プログラムの目的をがん患者の主体性を育み活かす看護実践ができる外来看護師の育成とし、学習者は、外来通院がん患者の看護に従事する看護師で、自分の所属部署での外来看護がひととおり実践できる者とした。プログラムは、5つのサブプログラム(SP)、実践力チェックリスト(CL)、2つの資料、5つの記録用紙で構成し、学習者のニードにあわせてSPを選択して学習する方式とした。2)調査方法:学習者の条件をみたすがん診療連携拠点病院の外来看護師9名とその指導者9名にプログラムを実施してもらい、実施後に両者と施設の教育担当看護管理者5名に、有用性と施設での運用可能性に関する面接調査を行った。また、実施前後のCLの点数を比較した。
結果:1)有用性:外来看護師の評価は「着実に能力を獲得できる」等であり、指導者の評価は「育成に必要な内容は網羅されている」等であった。外来看護師が実施したのべ11のSPのうち10(90.9%)のSPでは、プログラム実施前に比べて実施後の点数が増加した。2)運用可能性:指導者と管理者の評価は「時間とマンパワーが確保できれば可能」「プログラムの実施方法をもう少し簡素化する」等であった。
考察:試行版プログラムは、がん患者の主体性を育み活かす看護実践能力を向上させる可能性があると考えられたが、施設で運用されるためには、教育の質は維持しつつ実施方法を簡素化する必要があるといえる。
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