医療看護研究
Online ISSN : 2758-5123
Print ISSN : 1349-8630
研究報告
看護師及び看護教員の電子カルテの看護記録の活用に関する認識
海津 真里子村中 陽子
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2017 年 14 巻 1 号 p. 44-53

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抄録

 目的:看護実践・教育・研究における電子カルテの看護記録の活用に関して、看護師及び看護教員の認識を明らかにする。

 方法:看護師には看護実践・教育・研究における記録の活用、看護教員には臨地実習における記録の活用について、無記名自記式質問票で回答を求めた。看護師32名と看護教員69名の回答を、定量的(テキストマイニング・χ2検定)及び定性的に分析した。

 結果:テキストマイニングの最頻出コンセプトは[情報収集する]で、看護経過記録、体温表、看護データベースの順に出現数が多かった。看護師はこれらの記録から日々の実践に必要な情報を得ており、看護計画は重視されていなかった。アセスメント能力向上と記載内容充実を目的に教育で記録を活用しており、研究での活用は少なかった。看護教員は学生の情報収集に記録を活用させるが、記録閲覧に対して必ずしも肯定的ではなかった。

 考察:日々の看護実践に必要な情報が体系的に記録されておらず、看護師が看護記録の二次利用を意識していないことが推察された。教育的活用には情報に基づく思考過程を記録に反映すること、研究への活用には看護記録を分析データとして認識する必要性が示唆された。

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© 2017 順天堂大学医療看護学部
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