2018 年 14 巻 2 号 p. 60-68
看護学生は看護学臨地実習において実践に参加し、実践共同体の成員との相互作用を通して知識・技能を獲得し、アイデンティティを形成すると考えられる。そこで、本研究では、看護学臨地実習でのチームや組織への参加による学習経験を報告している25文献を総括し、実践共同体の視点から「新たな参加者としての実践共同体との関わり」「看護実践に関する関心や問題、熱意などの共有」「実践共同体の成員との相互交流を通じた知識や技能の深まり」「アイデンティティの構築」に沿って整理した。
学生は、メンバーとの関わりの中でチームの一員としての認識や看護者としての自己として認められた実感を持った。看護師と共に行動し、見学や自らも実践する体験を通して、対象理解、看護実践、看護師のあり方を学び、自分にとってのモデルを得た。他者の存在を通して学習が発展し、自己中心的視点から他者中心的視点へ転換した。また、自己と対峙しながら職業的アイデンティティを模索するプロセスをたどり、看護職への職業意識や志望動機が高まった。
看護学生の臨地実習における実践共同体の学びは、所属する組織での看護実践に向けたものではなく、看護実践者形成に向かった軌道であるところに特徴がある。