抄録
【目的】感染性の高い疾患に対する個人防護具(personal protective equipment;PPE)の種類、着脱手順、汚染部位、汚染リスクとなる動作、留意点、教育方法に関する文献を整理し、着脱技術の修得および長期間の保持を目指した教材作成への示唆を得る。
【方法】汚染リスクを評価した文献は電子データベースから2013〜2018年9月の期間で検索し、ガイダンスや技術文書およびPPE着脱手順はインターネットから検索した。
【結果】ランダム化比較試験4件、横断研究9件、ガイダンス等6件、着脱手順25件の計44件を分析対象とした。PPEの組合せは35件、着脱手順は19パターンを確認したが、その適切性を評価した研究は少なかった。汚染部位は手や下肢、顔周囲であり、手順を逸脱した動作で汚染していた。着脱時の留意点は53点を確認した。アクティブトレーニング有効性の報告は2件であり、着脱技術を長期間保持するために有効な教育方法の報告は見当たらなかった。
【結論】着脱手順やその教育に関するエビデンスは乏しかった。今後は、汚染リスクの少ない組み合わせと適切な着脱手順を検証し、着脱技術を長期間保持するためのアクティブトレーニング教材を開発し評価する必要がある。