医療看護研究
Online ISSN : 2758-5123
Print ISSN : 1349-8630
研究報告
モバイルアプリケーションを用いたがん性疼痛セルフマネジメント看護支援プログラム:モバイルアプリケーションのユーザビリティ調査
奥出 有香子佐藤 まゆみ
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2024 年 20 巻 2 号 p. 77-86

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抄録

 【目的】がん性疼痛を有する外来患者を対象としたモバイルアプリケーション(以下アプリ)を開発し、このアプリと看護師の介入によって疼痛セルフマネジメントを高めるための看護支援プログラムを考案した。本研究の目的は、開発したアプリに関して、がん性疼痛を有する外来通院中の患者にとってのユーザビリティを明らかにすることであった。【方法】がん性疼痛があり、オピオイドを内服中の外来患者を対象にアプリを1週間使用してもらい、アプリの使いやすさなどについて5段階評価での質問紙調査を行い、平均値を算出した。また、アプリの満足度や改善点などについてインタビュー調査を行い、質的記述的に分析した。【結果】対象者9名によるユーザビリティ評価の結果は、使いやすさ:3.0、操作のわかりやすさ:3.0、構成のわかりやすさ:3.3、操作のしやすさ:4.1、短時間で使用できるか:3.6、素早い操作性:3.9、文章の読みやすさ:3.8、今後も使いたいか:2.8、満足度:40~60%、アプリ全体に対する評価:2.8であった。アプリの使用頻度は、7人は毎日、2名は週3日で痛みの増強や発熱により毎日は使用できなかった。入力内容に応じて即時にメッセージが表示される機能は下剤の内服や安心感につながった。改善点は、字の大きさの変更や内服したことをチェックできる欄の追加などであった。【考察】開発したアプリの使用は、身体状況によっては負担になるものの、効果性・効率性という点から概ね有用であると考えられた。今後文字の大きさの変更や内服記録欄の追加などの改善が必要である。

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© 2024 順天堂大学医療看護学部
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