2024 年 20 巻 2 号 p. 96-104
目的:介護老人保健施設(以下老健)における看取りの現状と課題を横断研究により把握することを目的とした。
方法:全国老人保健施設協会に登録している3,600施設より2,000施設を県別に層化抽出し、各施設の看護師1名に無記名自記式質問紙調査を実施した。各項目の回答者数と割合を示し、前年度の年間看取り件数が0件(Aグループ)、1~10件(Bグループ)、11件以上(Cグループ)に分けて比較した。結果:281人の回答を分析し、年間看取り件数が記載された回答257人より、Aグループ40人(15.6%)、Bグループ109人(42.4%)、Cグループ108人(42.0%)だった。全グループとも「職員教育の不足」を問題として挙げていた。Aグループは「体制の不備」を多く挙げていた。B・Cグループでは工夫点やうまくいっている点として「家族との信頼関係」を多く挙げ、自身は「職員教育」「職種間の連携や調整」「カンファレンス」に取り組んでいると回答した者が多かった。
結論:老健における看取りに関する問題として職員教育の不足があり、職員と連携・協働する場面を通して教育する看護師の役割が重要になると考えられた。