2010 年 6 巻 1 号 p. 1-10
実習前後の2回にわたって同一の者66名にresilienceと自尊心の質問紙調査を行い,1)実習を経てそれらがどう変わるか,2)両者の関連はどのようであるか,3)それらは実習の受けとめ方とどう関連するかの検討を行った。その結果,1)自尊心は実習前後で変化は見られなかったが,resilienceの新奇性追求,メタ認知的志向性,関係志向性は実習後の方が得点が上昇していた。2)resilienceの下位尺度には,自尊心と関連が見られるものと,関連しないものが見られた。3)-1 全体的に自尊心の方が実習と関連が見られ,特に否定的うけとめ方は自尊心と負の相関が見られる一方,肯定的うけとめ方はresilienceとの相関の方が高かった。3)-2 実習の受けとめ方は実習前よりも実習後の方が自尊心やresilienceとの相関が高かった。3)-3 否定的受けとめ方と肯定的受けとめ方の高低群の組み合わせから,4群に分けて分析を行ったところ,自尊心は実習適応群で高かったが,resilienceに関しては実習適応群だけでなく「大変だったが学びは多いと感じている」実習学び群も高いことが示された。