2013 年 9 巻 2 号 p. 8-17
神経難病患者は、病気の診断や病状の進行に伴い「スピリチュアルな苦悩」を経験しているが、そのことを取り上げた看護研究はほとんどみられない。本稿では、神経難病患者の「スピリチュアルな苦悩」を看護師がいかに捉えているのか、またその苦悩に対していかにケアしようとしているのかを明らかにすることを目的とした。研究デザインは分析的帰納法で、データは半構成的面接法を用いて収集したインタビュー記録とし、研究協力者を神経難病患者へのケアを充分に語ることができる特定機能病院の看護師とした。分析では、まず看護師が捉えている患者の「スピリチュアルな苦悩」を、次に患者の「スピリチュアルな苦悩」とそれに関連したケアに対する看護師の認識の仕方をデータから取り出した。研究協力者は、人生の意味への問い、病や障害の受容、孤独、希望といった、患者が経験している「スピリチュアルな苦悩」について語ったが、それらを「スピリチュアルな苦悩」とは捉えていなかった。また、そうした苦悩へのケアを、【患者の望む生き方に向けた支援】【生きる拠り所である“できる”という思いに対する支援】【少しでも可能性のある“いま”を大事にする支援】として語った。