日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: A1-1
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第60回大会:口頭発表
家族に関する授業の取り組みと困難意識について
高等学校家庭科教員への調査より
小崎 恭弘
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キーワード: 家族, 授業困難, 高校家庭科
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抄録
家族に関する授業の取り組みと困難意識について
?高等学校家庭科教員への調査より?
【目 的】近年家族の多様化が進み、これまで捉えられていた家族の枠組みが大きく拡散している。生殖医療の発達やライフスタイルの変化に伴い、これまでの家族のありようとは異なる家族意識や捉えが多く見られるようになってきている。そのようなの中で「家族」を直接的に教授する家庭科において、その授業実践は困難になりつつあることは想像に難くない。そのような視点に立ち、本研究では高等学校家庭科関連授業において、家族に関わる内容や指導はどのような状況において取り組まれているのかを明らかにする。その上で家族に関わる授業の困難さを家庭科教員がどのように感じ、またそれらに対する取り組みや要因について検討を行うことを目的とする。
【方 法】高等学校教員へのアンケートを実施した。各都道府県の高等学校家庭科教員研修会等において実施。アンケートは無記名式とし、選択、記述で回答をする。研修会会場にて一括配布しその場で記入の上、回収を行った。○日時 2015年?2016年○対象 近畿、四国、東海、北陸の四地域の各都道府県の高等学校家庭科教員研修会参加者。各地域の参加者全員に配布を行う。配布枚数260部で回収176部(回収率67.7%)○倫理的配慮 配布時に調査目的等と倫理的配慮についての説明を行い了承を得た。またアンケート用紙にデータの取り扱いについての説明を行った。データの処理や表記は、特定の学校や個人を特定することのないように配慮を行なった。○調査内容 調査内容は以下の5項目。1.家庭科の授業について2.家族に関わる授業について3.家族に関わる授業の困難さについて4.家庭科教員の養成について5.学校、個人プロフィール
【結果と考察】家庭科における家族に関わる授業について、授業時間の意識は「十分できている4%、ある程度できている51%、あまりできていない39%、ほとんどできていない3%」。家族を教える教科書内容の使用しやすさは「使用しやすい3%、どちらかというと使用しやすい46%、どちらかというと使用しにくい46%、使用しにくい2%」。家族を教える教材については「十分にある3%、ある程度ある36%、やや不足している46%、不足している12%」。
 授業において家族を教えることに難しさを感じた人は「とてもある31%、ある程度ある60%、あまりない6%、全くない0%」。困難さの理由を複数回答で尋ねたところ「家族に配慮の必要な生徒がいるから76%」「生徒の家族像が多様であるから66%」「ひとり親家庭の生徒がいるから64%」「プライバシーに関わるから40%」「児童養護施設入所者や里親・里子の生徒がいるから35%」が上位となった。具体的な授業での家族に関わる内容は「アニメ、映画、小説等の一般的な家族を題材にする69%」「父親の育児について46%」「育児休業について46%」「教員の家族観を伝える44%」である。
 対象者のプロフィールは女性94%、男性4%、無回答2%。平均年齢は44.9歳であり、平均勤続年数は20.7年である。学校の平均学生数は628.7名であり、教員数の平均は58.6名。
 また困難さの傾向を把握するために検討を行った結果、以下の項目において有意差が見られた。教員年齢では、20代とそれ以上においては、20代教員の方がより困難さを持っていた。教員経験では、20年未満と20年以上において有意差が見られた。教員経験の浅い教員は、困難さを持っていた。また授業の理解度と生徒の進学率においても有意な差が見られた。学生の家族関連の授業に対する理解については、それぞれの高等学校の進学率と相関が見られた。進学率の高い学校ほど、生徒の授業に対する理解は高い。
 多くの教員が家族に対する困難さを感じ、様々な取り組みを行い対応していることが明らかになった。これらの知見をより活用し、家族に関わる授業のあり方をさらに検討して行きたい。
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