日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: A1-4
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第60回大会:口頭発表
家庭科教員養成における「家庭看護」授業の開発
倉持 清美*伊藤 葉子*吉川 はる奈*鎌野 育代
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抄録
問題と目的

教員養成では、免許上必要な科目として家庭看護があるが、開講の仕方は様々である。家庭看護として15回の授業を行なっている場合や保育学など他の必修授業の中で開講している場合などがある。15回で実施する際は、看護系の非常勤講師が担当し、家庭科教育の内容を十分に反映することが難しいケースもあるようだ。一方、保育学などの授業の一回分を家庭看護の授業に当てる場合も、一回の授業で内容を網羅することが難しい。

本研究では、すでに家庭科教育指導要領、家庭科教科書から家庭看護の内容について検討している。その結果から、家庭看護の内容を教育できる教員を養成する授業に必要な教材を開発することを本研究の目的とする。

研究方法

事前に行った調査をもとに、授業資料を作成した。資料の中には、産業総合研究所が作成した映像資料も含まれる。これらの資料を、必要に応じて許可を求めて、家庭看護の授業で使えるパワーポイント資料を作成する。

結果と考察

①事前の調査

○教員免許法 現行の高校の家庭科免許取得に、保育学として実習と家庭看護を含むことが必要とされていて、高等学校家庭科学習指導要領では、分量としては少なくなっているものの、教免法では、家庭看護が大きな比重をもっていることがわかった。

○学習指導要領 高校家庭科では、昭和期に家庭看護の内容が細かく記されていたが、平成に入って、家庭総合では、かなり明確な内容が提示されているものの、家庭基礎では、健康管理と安全という言葉に集約されている。現在の学習指導要領解説では、家庭基礎・総合ともこの言葉で表されるようになっている。健康管理と安全という言葉の中には、家庭看護で扱う知識・スキルに通じるものがあると考えられる。

○教科書の内容 「家庭総合」として6社6冊、「家庭基礎」として6社10冊を調査対象とした。家庭看護の内容は、健康管理は、「健康維持対策(健診含む)」と「体調の変化」、予防対策は、「予防接種」と「感染症」、事故防止は、「事故の種類」「事故の防止策」、母子保健は、「母子保健法」「母子健康手帳」に集約されている。

○家庭看護の課題 家庭看護は乳幼児期の問題だけではなく、高校生やその後の生活にも関わってくるため、自分たちにとっての問題として捉えられるような視点も重要になってくる。家庭看護の目標として、乳幼児期の健康な身体について学ぶだけではなく、このことが、今の自分、将来の自分とつながっていることが認識するような内容が、今後の家庭看護に必要と思われる。

②教材の作成

事前調査を基にして、「健康管理」「予防対策」「事故防止」「母子保健」の四つの分野からなるパワーポイント授業資料を作成した。健康管理は「子どもと健康」として子どもの病気の特徴・食物アレルギーについて、「基本的な看護」として発熱・嘔吐・下痢について扱っている。予防対策は「感染症」として感染症の種類・事例紹介を、「予防接種」として予防接種の定義・予防接種の種類・予防接種法・予防という考え方で構成されている。事故防止は、「事故の実態」として家庭の中で生じやすい乳幼児の事故の実態を取り上げ、「子どもの発達と事故」では、発達的な特徴によって生じやすい事故を整理し、「事故の予防」では科学的に裏ずけられた事故の予防方法と事故予防のためのネットワークの紹介、で構成されている。母子保健は、「母子保健法」について、「母子健康手帳」として親子の健康記録がもつ役割、「乳幼児健康診査」として子育てを切れ目なく支援するしくみ、「社会全体で子育てをサポートすること」として現代の多様化する子育て情報の紹介と子どもの健康状態を大人の目で確認することの重要性、で構成されている。

映像や画像を取りいれ、わかりやすい授業となるように工夫した。また、事前調査で課題に挙がっていた母子健康手帳や生涯発達の観点をいれた授業ができるように工夫した。
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© 2017 日本家庭科教育学会
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