家政学雑誌
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和裁に関する諸問題 (第1報)
和服寸法に関する一考察
吉田 花美
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1960 年 10 巻 4 号 p. 284-291

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抄録

明治より現代までの和裁書25冊の中から、大裁ひとえ長着の寸法を一覧表にしたところ、和服寸法は、明治より現代まで殆ど変化していないことを確認した。
しかるに我国民の体位向上は最近特に目覚ましく、明治33年から昭和31年までの成年男女の体格の推移を見ると、男子においては身長4cm胸囲3.7cm、女子においては身長8.2cm胸囲3.2cmの増加がある。和服寸法もこれに伴って変化しなければ正しい着装は望めない。しかるに現代の和裁書の中には、明治・大正時代のそのままの標準寸法を示しているものが多い。そこで私は、和服製作にあたって誰もが、直ちに自分の体格に基づいて適正な寸法を見出すことができる基準を決めたかと考え、これについて検討した。和服に関する寸法は、体型を基にすることは勿論着装の仕方や社会の動きなどによって決められるべきであるが、先づ今回は身長と胸囲の面から考察した。今後諸賢の御批判と御意見を俟って、更に適正な方法を決めてゆきたいと念願するものである。

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