家政学雑誌
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子供服の袖付のデザインとその負荷量について
中嶋 朝子花田 嘉代子
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1964 年 15 巻 6 号 p. 303-308

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抄録

子供服の種々の運動性能のうち、腕の運動性能に関係のある袖付のデザインの相違と負荷量との関係を知るため、腕の前後運動時の力のモーメント測定装置付子供用マネキンを作り、それに各種試験服を着せて、腕の前後運動をさせた場合の力のモーメントを測定し、仕事損失量を求めた。その結果を要約すると次の如くである。
1) 縫代内側の場合と、外側の場合とを比較すると、殆んどすべての場合、仕事損失量に明らかな差がない。
2) 袖丈の長短について比較すると、何れの場合も長袖の方が半袖より大きく、その差は長袖は半袖の1.2~2.0倍となる。
3) 袖付の相違について比較すると、縫代内側の場合と外側の場合とで布により順位が異なるものもあるが、長袖ではラグラン袖、シャツ袖、フレンチ袖、マチ付フレンチ袖の順で小さくなる傾向があり、半袖では袖付の相違による差は殆んどの場合明らかではない。
4) 布の相違による差は明らかで、本実験では袖付の相違による差よりも大である。
5) 仕事損失量と衣服重量との相関係数は何れの場合も0.9以上で高い相関々係がみとめられていた。
6) 又布の摩擦係数の影響も布Iと布IIの結果から認められるようであり、布地の伸縮性が影響を及ぼしている事も、メリヤスアンダーシャツの結果から推測されるので、詳細について今後検討する必要があると考える。

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