家政学雑誌
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里芋の調理に関する研究 (第 1 報)
粘りと固さに及ぼす各種添加物の影響
河村 フジ子海老塚 あつ寺崎 淑子松元 文子
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1967 年 18 巻 3 号 p. 147-151

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抄録
1. 里芋の粘質物は、水中に容易にとけだし、加熱しても、変化しないが、各種添加物を加えて加熱すると、粘度は低下する。
2. 里芋に各種添加物を加えて加熱すると、粘質物が溶出するのを防ぐか、或は、溶出した粘質物を変化させて煮汁のにごり、ふきこぼれを防ぐことができる。これは添加物の種類、量、加熱時間により幾分、差がある。
3. 2の場合、酸性物質を加えたものは、芋の表面が、固くなり、煮えにくい。これは、細胞中に、水に不溶のCalcium-pectateが形成されるためと考えられる。また、しかしこの場合、煮た芋の色は白く、泡立ちも希薄でふきこぼれを防ぐことがわかる。
4. みょうばんは、少量用いても、以上の効果がある。また、加熱中、ゆでこぼしをすれば、表面が固くなるのを防ぎうるし、むしろ、煮くずれを防ぐのに役立つ。
5. 2の場合、アルカリ性物質を加えたものは、芋の表面の組織は、いちじるしく破壊される。
6. 里芋の特有の食味は、粘質物と澱粉により形成されると推定される。従って、少量の酸性物質を使用して粘質物の溶出を防ぐことは、里芋のうまみを保つのに役立つと考えられる。
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