1967 年 18 巻 5 号 p. 304-306
前報においてみそ汁中の食塩濃度、糖量については家系間の差がみられ、これらの成分が伝承的な要因 (構族構成員の遺伝的要因、食習慣など) に負うところが大きいと示唆されたので、この点を明らかにするために本研究を行なった。またみそ汁中の食塩濃度、全窒素量ならびに糖量の問の相互関係も併せて検討した。結果はつぎのとおりに要約される。
1) 家系内分散に対する家系間分散の比率が有意であったのは食塩濃度と糖量であり全窒素量については有意ではなかった。すなわち、みそ汁中の前者2つの成分は伝承的なものに基づく要因が環境的なものに基づく要因にくらべて大きな意味をもつと判断された。この場合伝承的な要因とは各家に伝わる食習慣であると思われた。
2) みそ汁中のこれら3成分の問の相互関係をみるために、偏相関をみたところ、食塩濃度と全窒素量、食塩濃度と糖量との間に有意の正の相関を認めた。