家政学雑誌
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婚姻と届出に関する一考察
婚姻届にあらわれた再婚者の実態 (第5報) 名古屋市における調査
久武 綾子
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1967 年 18 巻 5 号 p. 342-347

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抄録
以上が、本調査対象区の、昭和25~34年における統計結果の第4編であるが、要約すると、
1) 式から届までの隔たりについて昭和25~34年を平均すると、1年までに届ける率は、初婚の約85%に対し再婚は約66%で20%近く低く、3年以上経て届ける率は初婚の1.2%に対し再婚は約16%もあり、再婚者はいかに婚姻の届出が渋帯しているかがわかった。
2) 式と届との隔たりが3年以上の標本について、調査範囲でとらえられる限りでの届出遅延の原因について統計的な分析を試みた結果、高齢、年齢差大、未成年者、旧法772条、若年再婚者、職業上の理由などが抽出され、統計上、再婚者の約半数はそのいずれかに該当することがわかった。
3) しかし、約半数は、それ以外の背後にひそむ統計上抽出されない原因によるものがあることもわかった。
4) 届出の遅速と職業との関係を、得点法を用いた尺度分析を行なった結果、専門的、事務、技能工、販売の得点順位であった。
5) 得点順位によって配列した職業集団の序列は、成層と移動調査による職業の格付け順位とほぼ等しい傾向にあることがわかった。
6) 以上、第5報は、再婚者の婚姻届出の遅速状態、その原因、職業との関係を定量的に測定したもので、行動科学的な分析のアプローチとして試みたものである。
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