家政学雑誌
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生体負荷よりみた至適作業位について
皿ふき作業の場合
菊沢 康子
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1968 年 19 巻 6 号 p. 467-472

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抄録
5~6名の成年女子に、種々の作業位を指示して皿ふき作業を課し、その時の心搏数、筋活動量、エネルギー代謝量より生体負荷を測定した。結果は次の通りである。
1. 心搏数は作業位が、肘位、肩位、額位の順に高い位置になるほど増加する。各高さにおいては、作業点が身体前面より10、20、30、40cmと前方に離れるほど心搏数は増加する。しかし、低い高さの場合でも、身体前面より離れすぎた場合は、高い高さで身体に近い位置よりも負荷はむしろ大きくなる。
2. 筋活動量は、一般に作業点の高さが高くなるほど増し、身体前方向では各高さとも、身体から離れるほど筋活動量は増加する。特に額の高さにおいて、その増加が著しい。又、肩や額の高さでは、身体前面より40cmの位置で筋活動が急増する。
3. エネルギー代謝量は、高さの違いによる差はみられなかったが、各高さにおいては、身体前面よりの距離が大きくなるほど増加する値向がみられた。
4. 一般に皿ふき作業のような空中位で行なう作業は作業台上で行なう作業よりやや高い位置で行なう方が、生体負荷が少なく、その高さは約90cmであり、身体より10~20cm離れた位置が最もやり易いことがわかった。
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