抄録
○ NaCl添加の卵白泡について
(1) NaCl添加の卵白液の泡立ちやすさはその濃度に殆んど影響されない。そしてその比重は無添加の泡の比重とほぼ同程度である。
(2) 泡の安定性は<0.1molの低濃度では比較的安定で0.3~1.5molの中濃度で安定が悪くなり、>2.0molの高濃度で再び安定は増し、無添加の泡よりはるかに戻り液が少ない。
(3) 卵白液の表面張力はNaClの濃度に比例してごく僅かずつ増加する。
(4) 表面張力と泡の比重の関係はこの程度の表面張力えなの差は脛すなわち泡立ちやすさに殆んど影響を与い。
(5) 表面張力は泡の安定性に大きな影響を与えない。
○ その他の塩添加の卵白泡について
K2SO4、KCl、KNO3、KIの4種の塩を添加した卵白泡については
(1) 塩の種類別比重はK2SO4添加の泡がやや小さく、KCl、KNO3、KI添加の泡がやや大きい。
(2) 塩の濃度は各塩とも比重すなわち泡立ちやすさに大きな影響を与えない。
(3) 泡の安定性は食塩添加の場合と同様で<0.1molの低濃度では埠較的安定で、0.5~2.0molの中漢度では安定性悪く、>3.0molの高濃度では著しく安定性を増す。これらのことは泡の安定性に蛋白の水和が大きく影響することを示すものである。
(4) 塩の種類別安定性は K2SO4>KCl>KNO3>KIで、これは無機イオンの水和力と一致する。すなわち、Hofmeister順列が認められる。
以上のことは安定な卵白泡を作るためには蛋白の水和を下げ、保護膜の生成が容易になるような条件下で泡立てる必要があるという考を裏付けるものである。