家政学雑誌
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クロロフィルータンパク質系の安定性に関する研究
守 康則
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1971 年 22 巻 7 号 p. 428-431

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抄録
植物組織の葉緑体におけるクロロフィルータンパク質複合体の安定性を知るためにクロロフィルaと卵アルブミソよりなるクロロフィルータンパク質のモデル系について加熱、酸、光、遷移金属 (Fe2+ 、 Fe3+) の影響を検討し次の結果を得た。
1. クロロフィルは温度 (60℃) 、酸 (クエン酸、塩酸緩衝液、 pH5.0) によりかなり分解をうけやすい。またいちじるしく光分解をうけるが、クロロフィルータンパク質系のクロロフィルは比較的安定性を示す。
2. クロロフィルは遷移金属 Fe2+ (10 -3M) 、 Fe3+ (10-3M) により分解されやすく、とくに Fe3+ によりいちじるしい接触酸化をうけるが、クロロフィルータンパク質系のクロロフィルは遷移金属 Fe2+ およびFe肝に対していちじるしい安定性を示す。
3. 本実験結果より植物組織葉緑体におけるクロロフイルータンパク質複合体は、温度、酸、遷移金属などに対して比較的安定性をもつものと推考する。
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© 社団法人日本家政学会
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