家政学雑誌
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加熱による食品の香味, 色, テクスチャーの変化に関する研究 (第5報)
煮物調理によるいも類のテクスチャーの変化
渋谷 歌子本間 伸夫塩崎 啓子石原 和夫
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1974 年 25 巻 8 号 p. 589-595

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抄録

煮物調理におけるいも類 (じゃがいも47年, 48年産さつまいも, 長いも, 里いも) のテクスチャーに及ぼす調味料の種類 (食塩, 砂糖, 酢酸), 調味時期 (最初から調味, および湯煮後調味), 加熱時間 (0, 5, 10, 15, 20分) の影響についてレオロメーターを用いて検討し下記の結果を得た.
1) レオロメーターカーブでは付着性, 脆さは示されない.硬さ, 弾力性, 凝集性を求めた結果弾力性, 凝集性はその測定値に変動が大きいのに対し, 硬さは変動が小さいので, その平均値について検討を加えた.加熱による影響の仕方はいもの種類により異なり, さつまいもは軟化しやすく, じゃがいも (47年) は軟化しにくい傾向にある.また調味料が硬さに及ぼす影響の仕方はいもの種類により異なるが, 酢酸の影響が最も大きくどのいもにおいても硬く他の調味料との問に大きな差を示している.官能テストの結果もほぼ同じ傾向を示した.
2) 各種調味料の添加時期を変えてじゃがいもの硬さに及ぼす影響をみると高い有意性を示し, 調味料では酢酸が最も硬く砂糖が最も柔かくなるのは1) の結果と同じ傾向であった.調味時期は湯煮後調味が最初から調味より柔かくなり, どの調味料の場合も同一であった.
3) 単独調味と併用調味がじゃがいもの硬さに及ぼす影響を比較すると, 単独調味料の影響は1) 2) の結果と同じ傾向を示したが, 食塩, 砂糖, 酢酸の三調味料を併用する場合には, 砂糖は他の調味料に影響を与えず, 食塩は酢酸の効果を弱め酢酸は単独より併用の場合の方が柔かい傾向を示した.以上のことから併用により相加的または相乗的に硬くなることは認められなかった.

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