抄録
チャ若葉のC含有量の時期的消長, 保存による変化, およびアスコルビン酸オキシダーゼ活性について検討した. さらに冬葉から試験的に冬茶を製し, そのC含有量についても検討を加えた.
1) 若葉の RAA, DAA, TAA 含有量および RAA/TAA 値の時期的変動の範囲は37~297, 13~99, 79~362mg% および29~93%であり, 年間の平均値はそれぞれ152, 55,205mg% および 71% であった.
2) 若葉の RAA, TAA 含有量および RAA / TAA 値の変動の傾向としては, いずれも成育の初期段階に多く, 向暑時に漸減して盛夏に最小となり, 向寒時に漸増して冬期特に厳寒時に量大となり, 気温の上昇に伴い減少した. DAA含有量の変動については前3者とその傾向が異なり, 向暑時および夏期には比較的多いが, 向寒時および厳寒の時期には少なく, 新芽の萌繊前ないしは気温の上昇期に再び増大した.
3) 春葉, 夏葉, 冬葉の RAA, TAA 含有量の保存 (4℃) 中の経日変化は単純ではないが, 一般に減少の傾向がみられた.冬葉では春葉, 夏葉に比べ, 特にRAA含有量の減少速度が著しく小さく, 保存開始3日後のRAA残存率は94%であった. なお冬葉では保存開始20日後のRAA残存率は80%であり, 室内放置20日後の残存率も46%でCの安定性が顕著に高いことが推定される.
4) 若葉のRAAオキシダーゼの活性度は盛夏に著しく高く, 次いで初夏に高いが, 冬期には顕著に低く, 上述のRAA, DAA含有量の時期的変動から予測される活性度と符合した. また初夏の若芽のRAAオキシダーゼの活性度は同時期の開葉の活性度に比べてかなり低かった.
5) 冬茶には原葉のRAAの96%が残存し, その焙茶には36%が残存した.