家政学雑誌
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炊飯容量と米飯食味との関係について
中野 和子光武 元子二木 栄子
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1977 年 28 巻 1 号 p. 27-34

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抄録

一般に, 炊飯の際には炊飯器容量の8割炊きがおいしいといわれているが, 真実そのように言えるものか否かを検討するため, 炊き上がり容量を釜の1/5, 2/5, 3/5, 4/5, 5/5の5段階にわけ, 容量別米飯の食味について官能検査および客観的測定を行った.
[官能検査]
1) 炊飯器容量からみた食味では, 5%の危険率で容量間に有意差が認められ, 4/5容量 (8割) 炊きが最もおいしく, 5/5容量 (10割) 炊きが最もまずく, 1/5, 2/5, 3/5容量炊きは両者の間に位した.
2) 1釜内の部位別食味では, 4/5, 5/5容量炊きのいずれにも1%の危険率で有意差がみられ, 釜肌上部が最もおいしく, 中心底部が最もまずいと認められた.
[客観的測定]
1.4/5容量炊きと5/5容量炊き米飯について
a) 仮の面積比では, 前者が1.9, 後者が2.0でほとんど差がみられなかった.
b) 水分含量では, 前者が64.4%, 後者が63.6%でいずれも64%前後の値を示した.
c) 脱水率の経時的変化では, 常に後者が高い値を示した.
2. 4/5容量炊き, 5/5容量炊き米飯の釜肌上部と中心底部については, 両者共通して
a) 組織の形態的比較では, 釜肌上部が中心底部に比べて細胞膜がやや明瞭にみられた.
b) 炊飯中の温度上昇曲線では, 沸騰まで釜肌上部が直線的に上昇し, 中心底部は不安定な上昇曲線を描いた.

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