抄録
大豆の焙焼香気について主としてHSV-ガスクロ分析法で検索した.焙焼時間 (175℃, 7~20分間) の増加に伴い乾熱調製, および焙焼後水で湿潤させた湿熱調製HSVのいずれの場合にも, 香気成分のピーク数, ピーク強度が増大し, 15分焙焼HSVは約45成分を示した.焙焼HSVの保持時間約16分までの主要成分の一部はカルボニル類で, acetaldehyde, propionaldehyde, isobutyraldehyde, n-butyraldehyde (isovaleraldehyde or methyl ethyl ketone) およびcapronaldehydeを同定した.官能試験の結果から焙焼香気に硫化水素, サルファイド類, 塩基性成分およびカルボニル類が重要であると判断される。脱脂した焙焼大豆HSVの成分ピーク数は変化しないが, 保持時間約3~5分および14~19分にかけての数成分のピーク強度が著しく強大になることが認められた.4種の市販きなこHSVは相互に類似のガスクロマトグラムを示し, 15分焙焼大豆香気に検出される保持時間約8~13および22~32分にかけてのそれぞれ数成分に欠けていた.