家政学雑誌
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ほろほろ鳥肉の物性について
澤山 茂川端 晶子
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1978 年 29 巻 8 号 p. 516-521

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抄録

ほろほろ鳥肉の物性について, テクスチャー, 肉ゲルの粘弾性係数を求め, あわせて官能検査を行い検討した.
1) 胸肉, 手羽肉, もも肉を各部位別に加熱して重量損失率を求めた.ほろほろ鳥肉のもも肉は, 肉汁の流出による重量損失率2.7%, 鶏肉は部位による差は小さく2~3%であった.蒸発による重量損失率は, ほろほろ鳥肉の胸肉, 手羽肉と鶏肉の手羽肉が11~13%と大であった.
2) テクスチャー測定では, 部位により筋肉組織の違いがあり, 加熱により鶏肉は軟らかくなるのに対し, ほろほろ鳥肉は, 鶏肉ほど軟化せず, やや硬い, しまった肉質に変化することが認められた.
3) 肉ゲルは, フックの弾性体, 2組のフォークトの粘弾性体およびニュートン粘性体の6要素模型で示され, 弾性率 (E0, E1, E2) は、106~107dyn/cm2, 粘性率 (η1, η2, ηN) は107~1010poiseであった.フック体の弾性率およびフォークト体の弾性率, 粘性率は, 温度の上昇に従い減少した.遅延時間の相違が認められ, 両者のゲルの結合状態の違いが推測された.ニュートン体の粘性率には顕著な差はなかった.マスターカーブおよびシフトファクターが求められ, ほろほろ鳥肉ゲルは11.5℃~52.0℃, 鶏肉ゲルは12.0~51.0℃の温度範囲で温度と時間の換算則が成立した.みかけの活性化エネルギーは, ほろほろ鳥肉ゲルは40kcal/mol, 鶏肉ゲルは37.3kcal/molであった.また遅延スペクトルが求められ, 遅延時は0.5秒から104秒の間に分布することが認められた.
4) 官能検査の結果, ほろほろ鳥肉と鶏肉の間には, 有意の差は認められなかった.

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