家政学雑誌
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学童の頭部成長の縦断的観察
甲野藤 ウタ松浦 悠紀子雁部 愛高橋 キヨ子
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1978 年 29 巻 8 号 p. 527-532

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抄録
小・中学生の帽子設計における基礎的研究として, 1970年小学校入学時から6年間縦断的に計測を実施した頭囲・頭長・頭幅・頭示数の4項目を用いて, 頭部形態の観察を行い, 二・三の検討を試みた.
おもな結果は次のようである.
1) 頭長・頭幅の成長は, 男女とも加齢に伴い緩慢に増加の傾向であるが, 増加率は, 頭長では女子が男子より大きく, 頭幅では男女ほぼ同率に近い.頭囲は男女とも加齢に伴いほぼ直線的に漸増し, 女子は男子より増加率がやや高い.頭示数は, いずれの年齢でも一般に大きく, 男女とも過短頭型に属し, 一定の年齢的変化傾向は明瞭にはみられないようである.
2) 性差は, 頭幅で男子は女子よりも優れ, 全年齢で高度に有意差がみられ, 頭示数も男子が大きくほとんど高度に有意差がみられる.
3) 頭長と頭幅の相関は無相関に近く, 頭囲と頭示数も無相関に近い.頭型は個人差が大きいようである.
4) 他資料との比較では, 6歳児 (10年前), 11歳児 (約20年前) を対象に行った結果, 頭囲, 頭幅は男女とも20年前と比較して増大している.女子の頭長は10年前よりはやや漸増傾向である.今回成績の頭型は, 男女とも過短頭型に属するが, 10年前と比較して頭示数はやや低くその差は女子が大きい.
5) 成人値との比較では, 頭囲, 頭長, 頭幅の3項目は11歳で男女とも成人値の約95~99%に達し, 女子は男子より約3年早く成人値に近づく.頭示数は, 男女とも学童期の全年齢で成人値を上回る.
6) 以上の結果に基づき, 帽子サイズを設定する場合の例として, 推定値を回帰推定式により検討した結果, 頭囲と頭幅の2変数を基準項目に用いて設定した方が, より頭型に適合し, 精度が高いようである.
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