抄録
1) 生と炊いた米粉の9.4GHzにおける誘電率を, 広く水分含量を変えて測定した.生と炊いた米粉では誘電率は誤差範囲内で一致した.
2) 各水分含量での誘電率測定から米粉中の水の状態について次のように説明される.
i) 0~8%;ε′の大きさが小さくまた変化もほとんどないことから束縛された水として存在すると考えられる.
ii) 8~35%; ε′の実験値がブラグマンー花井のW/O型エマルジョンの理論と一致することから, 通常の水がW/O型に米粉中に分散していると考えられる.
iii) 40~50%;ε′およびε″が急増することから, 局所的に水がつながり, W/O型の界面分極が消失すると考えられる.
iv) 60~100%;試料の比重変化を考慮すると, O/W型に分散しているようである.
おわりに本実験にあたって測定技術上の数々のご指導をいただきました東大応微研の前田好美先生に深く感謝いたします. WANG計算機については49年度, 50年度の, 本研究については52年度, 53年度の文部省科研費補助金を受けました.