家政学雑誌
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タマネギの組織および含有物におよぼす調理の影響 (第2報)
還元糖, 組織の形態
島田 保子尾形 映子根橋 弘江
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1979 年 30 巻 3 号 p. 286-291

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抄録

タマネギの組織中に含まれる還元糖の種類と分布, および調理による組織の形態変化を調べた.還元糖の種類と分布については, フェニールヒドラジン法によりオサゾンを形成させ, ゼラチン包埋後, 凍結切片をつくり, 検鏡した.また調理による組織の形態変化については, ホルマリン固定し, パラフィン包埋後, パラフィン切片を用いて, 種々の複染色をほどこし主に細胞壁と核を観察した.実験には生タマネギおよび煮る, 油で妙める, マイクロ波加熱の調理したタマネギを用いた.
実験の結果, つぎのことが観察された.
1. 組織中の還元糖は均一に分布しており, 特に維管束周辺に偏在していることはなかった.
2. 調理されたタマネギ中の還元糖は煮る, マイクロ波加熱, 油で妙めるの順に多くなる傾向を示し, 特に油で妙めるは顕著であった.これは高温加熱により生成されたものと思われる.
3.組織の形態変化は生タマネギに比較して煮た場合が最大であり, マイクロ波加熱は生と煮るの中間であった.油で妙めるは変化が少なく, 生とマイクロ波加熱の中間であった.

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