家政学雑誌
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スポンジケーキの性状に及ぼす攪拌の程度と放置時間の影響について (第1報)
焙焼前のケーキ生地の安定性
白木 まさ子貝沼 やす子
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1979 年 30 巻 8 号 p. 651-657

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抄録

最初に, A法 (卵白のみをおもに起泡する別立て法1), B法 (卵白, 卵黄を別々に起泡する別立て法2), C法 (全卵を起泡する共立て法) によって調製したスポンジケーキの品質について比較検討した.次に, これらの調製方法との関係において, 小麦粉混合のための攪拌の程度およびケーキ生地の放置が焙焼前のケーキ生地の安定性に及ぼす影響を知るため実験を行った.
1) A法とB, C法の間に相違がみられ, B法とC法は似た傾向を示す.A法によればケーキのきめは密で均一性にすぐれているが, 比容積が小さく, ややかためとなる.外形は中央部が高い山型で, 表皮の焼き色は黄褐色を呈する.B, C法はきめが粗く, 均一性ではA法に劣るが比容積が大きく, A法に比べやわらかい.外形はなだらかな直線型で焼き色は褐色である.
2) (卵+砂糖) 攪拌液と小麦粉を混合するときは短時間の軽い攪拌が望ましい.C法ではさっくり軽く混ぜる程度 (G-Emixer, No. 1で15秒) にとどめるべきであり, A法ではC法以上の攪拌 (G-Emixer, No. 1で30秒) であってもよい.しかし, 過度の攪拌 (G-Emixer, No. 1で1分) になると比重の増加, 粘度の低下が著しい.
3) ケーキ生地の放置は, A, B, C法とも40分以内であればケーキ生地の安定性にほとんど影響を与えない.しかし放置60分ではケーキ生地の比重と粘度の増加が認められる.

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