家政学雑誌
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調理器具の腐食性に関ずる研究 (第3報)
アルミニウムの食品溶液による腐食現象について
平野 美那世
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1981 年 32 巻 2 号 p. 87-91

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抄録

アルミニウム板 (JIS 1050) の室温における浸漬実験の結果, 腐食環境である食品溶液のアルミニウムに対する腐食性は次の4種類に大別できることがわかった.
1) 梅酢や酢および有機酸に食塩を加えた溶液でpHが低く塩素イオン濃度が高く, 腐食性が大で全面腐食させるもの.
2) 醤油のようにpHはアルミニウムの不働態領域にあり, 食塩, アミノ酸を含み孔食腐食を発生させるもの.
3) 重曹液, 食塩液のように, 溶出したアルミニウムイオンが化合物として沈澱吸着し有色皮膜を生成させるもの.
4) 蔗糖液, 化学調味料液, クエン酸液のように不働態化皮膜の溶解が少なく, 腐食性をほとんど示さないもの.
また, 空気吹き込み実験により空気中の酸素は腐食を増大させることがわかった. アルミニウム箔の浸漬実験結果もこの腐食性の傾向と一致した.
なお腐食生成物については, 本実験の範囲では解明できなかったが, 今後検討したいと思う.

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