家政学雑誌
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マイクロ波加熱による食品の硬化現象について (第2報)
パンの硬化にともなうでんぷん成分の変化
肥後 温子大久保 路子島崎 通夫
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1981 年 32 巻 3 号 p. 178-184

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抄録

1) マイクロ波と伝熱とで加熱したパンの性状を試験した結果, マイクロ波加熱によって硬化したパンおよびパン粉体は, 次のような特色を示した.
(1) 膨潤度がかなり高く, α-化度もわずかに高い.
(2) でんぷん成分, とくにアミロースの溶出率が高く, その一部は膜化している.
(3) でんぷん粒の変形や破損が大きいが, 粒径はむしろ伝熱加熱の場合より小さい.
2) でんぷん-水モデル系をマイクロ波加熱した場合の硬度は非常に高く, またその粉体の分析結果はパン粉体の結果と類似していた.
したがって, パンをマイクロ波加熱するとでんぷん成分に特有の変化がおこり, 硬化現象をもたらすものと考えられる.

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