家政学雑誌
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炊飯に伴う米の香気成分の変化および揮発性カルボニル化合物について
炊飯に伴う米の外観, テクスチャー, 香味の変化について (その2)
佐藤 恵美子本間 伸夫渋谷 歌子石原 和夫
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1984 年 35 巻 3 号 p. 147-155

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抄録
炊飯に伴う米飯の香気について検討した.米飯 (こしひかり, れいめい) は, 0, 10, 20, 30, 40分間150℃の油浴で加熱し, HSVをGLCで分析した.また加熱時間とフレーバーの関係を順位法, 評点法により, 官能検査も行った.さらに, 生米と開放加熱, 閉鎖加熱した米飯の揮発性カルボニル化合物を検討するために, 2, 4-DNPとして分離し, GLC, TLC, UVにより分析した.
GLCによる分析結果より, 総香気量 (ピーク面積の合計値) は, 20分加熱した米飯が最も多かったが, 官能検査では, こうばしさの加わった30分加熱の米飯が最も好まれた.カルボニル化合物, アルコールともに20分を最大とし, 加熱30分には, 急激に減少した.なかでも, ヘキサナールは, ヘッドガス成分として生米中に約44%も含まれていたのが, 加熱30分には, 20%までに減少した.開放加熱の米飯とその蒸留液のカルボニル量の合計値は, 閉鎖加熱の米飯の含有量と一致していたので, 開放加熱では, 42.9%のカルボニル量が蒸発したことになる.官能検査では, 開放加熱の米飯が閉鎖加熱よりも好まれていた.これらの結果より, あまり好ましくない香気のペンタナール, ヘキサナールなどが蒸気としてかなり揮散されることは, 嗜好的にも良い結果をもたらすことを認めた.
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