抄録
炊飯に伴う米飯の香気について検討した.米飯 (こしひかり, れいめい) は, 0, 10, 20, 30, 40分間150℃の油浴で加熱し, HSVをGLCで分析した.また加熱時間とフレーバーの関係を順位法, 評点法により, 官能検査も行った.さらに, 生米と開放加熱, 閉鎖加熱した米飯の揮発性カルボニル化合物を検討するために, 2, 4-DNPとして分離し, GLC, TLC, UVにより分析した.
GLCによる分析結果より, 総香気量 (ピーク面積の合計値) は, 20分加熱した米飯が最も多かったが, 官能検査では, こうばしさの加わった30分加熱の米飯が最も好まれた.カルボニル化合物, アルコールともに20分を最大とし, 加熱30分には, 急激に減少した.なかでも, ヘキサナールは, ヘッドガス成分として生米中に約44%も含まれていたのが, 加熱30分には, 20%までに減少した.開放加熱の米飯とその蒸留液のカルボニル量の合計値は, 閉鎖加熱の米飯の含有量と一致していたので, 開放加熱では, 42.9%のカルボニル量が蒸発したことになる.官能検査では, 開放加熱の米飯が閉鎖加熱よりも好まれていた.これらの結果より, あまり好ましくない香気のペンタナール, ヘキサナールなどが蒸気としてかなり揮散されることは, 嗜好的にも良い結果をもたらすことを認めた.