家政学雑誌
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炊飯に伴う米の外観, テクスチャー, 香味の変化について (その3)
米飯の揮発性酸とその動きについて
佐藤 恵美子本間 伸夫渋谷 歌子石原 和夫
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1984 年 35 巻 4 号 p. 229-234

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抄録

前報にひき続き, 閉鎖加熱と開放加熱米飯中の揮発性酸について, ブチルエステル化したものをサンプルとして, GLC, およびGC-MSにより分析した.官能検査もまたScheffé法を用いて行った.結果は次のようである.
1) GLC, GC-MSの結果から炭素数1~18までの直鎖および枝分かれ脂肪酸, 2-ヘキセン酸, レブリン酸, 安息香酸などが同定された.このうち, 炭素数1~5までの脂肪族直鎖および枝分かれ脂肪酸, 4-メチルペソタン酸, 2-ヘキセン酸, レブリン酸, 安息香酸などが新しく米飯中に見いだされたものである.量的に多い揮発性酸は, 酢酸, 酪酸, イソバレリアン酸, ヘキサン酸, デカン酸である.
2) 開放加熱米飯においては, 閉鎖加熱米飯の約1/4の揮発性酸が蒸発液のほうへ移行した.
3) 官能検査の結果では, 開放加熱米飯が閉鎖加熱米飯よりも好まれた.
4) 以上のことから, 通常の炊飯のごとく適度に“湯気”が出ることは, 好ましくない匂いを有する揮発性脂肪酸を減少させるということで有意義であると考えられる.

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