抄録
殻付卵を高温(30℃)と低温(3.5℃)条件下で一定期間貯蔵した場合の卵白の性状, およびそれらを急速加熱で余熱を利用する方法により調製した卵白ゲルの物性などを比較した.
1) 卵白の構成割合・卵黄係数・水分含量・pH・粘度は, 貯蔵温度にかかわらず, 初めの7日間の変化が著しく, 今までの報告と類似していた.
2) 殻付卵の低温貯蔵は, 鮮度低下をかなり防ぐ効果がみられ, 熱凝固性については, ほぼ4週間は大きな変化がみられない.
3) 30℃貯蔵の場合, 卵白は貯蔵期間が長くなるにつれゲル化しにくくなり, この加熱条件下ではカードメーターによる物性値は低下し, 透明感のある, 動きやすい水分の多いゲルを形成した.
4) 加熱に伴う卵白の内部温度の上昇速度は, 卵白の粘度に対応しており, 粘度の小さいものほど大であったが, ゲルの物性値などと相関はみられない.