日本総合健診医学会誌
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貧血検診におけるヘモグロビン, 赤血球恒数, 赤血球粒度分布幅測定の意義
内田 立身吉田 幹男酒井 一吉刈米 重夫
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1987 年 14 巻 4 号 p. 447-450

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抄録

鉄欠乏の診断に対する赤血球粒度分布幅 (RDW-CV) の有用性を検討した。学生の貧血検診において鉄欠乏を, 鉄欠乏性貧血, 潜在性および前潜在性鉄欠乏に区分し, 各区分におけるMCV, RDW-CV (平均±1標準偏差) は各々正常で84±4fl, 12.7±0.5%, 前潜在性鉄欠乏で89±4fl, 13.2±0.8%, 潜在性鉄欠乏で86±6fl, 14.0±1.5%, 鉄欠乏性貧血で79±7fl, 15.6±1.7%であった。小赤血球は鉄欠乏性貧血のみでみられたが, RDW-CVは鉄欠乏の進展に伴って大きい値をとった。鉄欠乏性貧血の診断に対するRDW-CVの感度は77.1%, 鉄欠乏状態のそれは49.2%で, 特異性は90.6%であった。鉄欠乏状態が多くサラセミアが少ない国では, 鉄欠乏状態が, 血清鉄, フェリチンの測定を行なわずにRDW-CVでスクリーニングできる。

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