日本総合健診医学会誌
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研修会教室講演 一般定性検査成績の管理
林 康之
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1990 年 17 巻 4 号 p. 383-391

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抄録
いわゆる一般定性検査室の作業に, 血液, 血清, 化学検査室で行なわれている精度管理プログラムを適用しているところは少ないと思う。
管理物質の投入は適当な管理物質のないこと, もしあったと仮定しても日常検査の現実を管理物質の統計数値が示してくれるかどうか疑わしい。その理由の大きなものは, 一般定性検査の対象である検体の経時変化が明らかでないことである。従って, 検体採取, 即時検査が求められ, その結果重複検査でも行なわれない限り検体取扱い上の過誤が発見できない。管理データがおかしいから, と判定されてから検査しなおしても経時変化がその判定を妨げることになる。また, 血液像検査の精度管理が困難なごとく尿沈査鏡検, その他の形態検査はまずQ.Controlはできない。
それでは一般定性検査室のQCは無意味か, 全くできないで済ませてよいかというのが課題であると思う。
1.管理物質の投入と選択。
一般定性検査の場合, ブラインドの投入は困難である。従っていわゆる自主管理にすぎないと考えてよい。
2.重複検査が必要。
できれば提出者 (外来, 病棟) で同時に2つの容器にとる。25日間1検体ずつ, 実施しても誤差範囲を認識するために役立つよい方法である。
3.形態検査は管理するよりも訓練である。
手技を規格化することがポイントである。
また, 手技の規格化とチェックを少なくとも1ヵ月に1回行なうとよい。慣れが誤差を産む一原因である。
4.Surveyに参加すること。
External Q.C.に参加して, 各施設が全体に対する位置を確かめること。もしBiasがあったとしても, その原因を知悉しておれば問題は少ない。しかし過誤はその過程を徹底してしらべ再度同じことを起こさぬことである。
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