日本総合健診医学会誌
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運動型健康増進施設利用会員の医学的側面と運動効果について
今村 裕行中村 伸皆吉 正博国方 和宏松原 未佐小畑 大吉今井 優船津 末弘田中 啓子小松 洋一木村 公喜西内 久人
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1992 年 19 巻 4 号 p. 327-335

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抄録
体力測定を受検した男性237名 (45.8±12.6歳) と女性317名 (44.2±13.0歳) を対象として, スポーツ施設会員の医学的側面と, 30回の運動が会員の体力測定項目に及ぼす影響について, 厚生省が示した「運動所要量」を基準に検討した結果, 以下のような知見を得た。
1) 当スポーツ施設から南大阪病院・他病院へ紹介した会員数は, 男女ともに整形外科的疾患が最も多く, 次に心電図異常が多くみられた。
2) 当スポーツ施設において最も多くみられた事故は切傷で, 次に多くみられた事故は脳虚血様症状であった。
3) 体力測定を受検した男性の54.9%と, 女の50.5%に疾患が認められた。これらの疾患には, 突然死につながる可能性がある心筋梗塞や, 心筋梗塞の危険因子といわれている高血圧, 高脂血症, 糖尿病, 肥満などの疾患も多くみられた。
4) 男性では, 運動群のVO2maxとVO2max/wtがそれぞれ有意に増加したが, 対照群では, すべての項目において有意な変化が認められなかった。以上の結果から, 男性については, 「運動所要量」を満たす運動を週2回以上行うことの必要性が示唆された。
5) 女性の場合は, 運動頻度が週2回に満たなくとも, 運動強度と1週間の合計運動時間が「運動所要量」を満たしていれば, ある程度の運動効果が期待できることが示唆された。
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