日本総合健診医学会誌
Online ISSN : 1884-409X
Print ISSN : 0911-1840
ISSN-L : 0911-1840
個人追跡から見た慢性閉塞性肺疾患の肺機能の早期変化と診断後の経年的推移
市瀬 裕一野呂 光子鳴戸 真美子伊藤 健次郎
著者情報
ジャーナル フリー

1994 年 21 巻 4 号 p. 332-337

詳細
抄録
健常例, 健常から機能障害にいたる過程が検出された例, およびすでに閉塞性肺疾患と診断され経過を観察された例の機能の経年的推移を比較した。最終受診時に初めて呼吸困難を訴え, 閉塞性障害を有した例を10年余にさかのぼると, 一秒量, 一秒率の経年的減少は健常例よりも大きく, とくに一秒率の経年的減少は健常, 異常の弁別が一秒量よりも明確であった。症状を訴える5年以上前から正常範囲を逸脱した。すでに閉塞性肺疾患と診断された例の過去10年の肺機能の経年変化では, 一秒量, 一秒率は疾患の診断確定後も経年的減少を続ける例と減少が鈍化する例が見られた。初回の一秒量, 一秒率が低下した例では, 同じく経年的減少も少ない傾向を認めた。この経年的減少には努力肺活量が影響しており, これら一秒量, 一秒率の減少の少ない例では努力肺活量も低値であった。肺機能の個人追跡は疾患の早期発見, 経過観察に有用である。
著者関連情報
© 日本総合健診医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top