人間と生活環境
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病室における睡眠時の天井放射冷房に関する実験的研究
糸井川 高穂羽山 広文絵内 正道菊田 弘輝山岸 浩
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2006 年 13 巻 2 号 p. 87-93

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抄録

本研究では、健康な青年男女各2名を被験者とした曝露実験を行い、天井放射冷房を使用した病室における睡眠に適した温熱環境を検討した。患者が病室に長期間滞在することを考慮し、睡眠時に快適と考えられている室温28℃、相対湿度50%を基準とし、26℃、30℃の2設定を加えた3条件で実験を行なった。睡眠中の心拍変動、各部皮膚温、熱流量を連続して記録し、また、起床直後には主観睡眠調査票により睡眠感を調査し、皮膚温や自律神経系の活動の経時変化の様子や生理反応と心理反応の関係を検討した。実験により、(1)手と足の皮膚温が他の部位より高い値となる、(2)時間の経過に伴い迷走神経の活動が高まる、という結果を得た。また、考察として、(1)自律神経系に着目する場合、26℃とした制御が他の条件の場合より高い安静を得るのに有効であると言うことができ、起床時の主観的睡眠感に着目する場合、28℃とした制御が他の条件の場合より起床時に高い睡眠感を得るのに効果的であると言う事ができる、(2)額、前腕および下腿の皮膚温を、睡眠中の安静の程度を判断する目安とすることができる、という結果を得た。

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© 2006 人間-生活環境系学会
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