抄録
集合住宅と一戸建て住宅を対象として,台所における生ごみ臭の実態把握を行うために実測調査を行った。測定は夏季に行い,台所の温度,湿度,グローブ温度,生ごみ仮置きしている場所の温度,生ごみ置き場付近のニオイセンサ値を測定し,主婦に,台所での作業状況,生ごみの廃棄時間,台所に生ごみを仮置きする時間や容器の種類,臭気感覚(臭気強度,不快度,臭気の質,容認性)を申告してもらった。ニオイセンサは,主に硫化水素とアンモニア臭に反応する2種類を用いたが,硫化水素臭に反応するニオイセンサは,測定値と生ごみ臭の臭気感覚評価と対応がみられた。強度評価とニオイセンサ値の関係から,各住宅の台所で生ごみ臭の発生が許容レべル以上である時間を検討すると,生ごみを仮置きする時間や仮置きに用いる容器の開閉状態との関連がみられた。また,一般的な住宅で許容レべルを超えている時間の合計は,調査期間のおよそ1/3である。