2016 年 23 巻 2 号 p. 49-57
本研究では,松本市内の小学校を対象に,教室内の掲示物の実態と掲示物に対する児童の意識について検討した。調査の結果,1教室当たりの平均で38件の掲示がなされており,掲示の種類については生活面の掲示物が71%と多くなっていた。掲示位置と掲示内容の関係については,生活面の掲示では教室の前側には「目標」や「決まり事」の掲示が多く,教室の後側には,「取り組み」や「メッセージ」の掲示が多くなっていた。学習面の掲示では,教室の前側には「学習の心がけ」,後側には「学習の作品」,窓側・廊下側には「学習の振り返り」が多く掲示されていた。学年による違いについては,掲示物の件数は低学年で多い傾向となり,内容は高学年になると生活面の掲示物の割合が多くなった。掲示物と児童の意識の関係については,掲示物の種類が児童の意識に強く影響しており,「予定」や「取り組み」,「学習の作品」の認知の度合いが高い結果となった。