本論文の目的は、杉本貴志の1990年から2018年までの55作品を対象とし、デザイン要素を抽出して作品分類を行い、その特性を明らかにすることである。9群に分類された作品群には、基本のデザイン要素と特定のデザイン要素が多く用いられていることが明らかになった。また、作品の業態ごとに年代推移に従い、作品が出現するデザイン要素群が変化することも示された。1989年以前と1990年以降の作品を比較すると、 1990年以降のデザイン要素数が飛躍的に増加していることが特徴的である。さらに、「恣意的なデザインを避ける」ことで店舗の大型化に対応する手法が求められた。そこで、「編集」による作品が多く出現し、ディレクションが重視されてきたことが示唆されている。