第2部では,体温調節の性差とその機能の加齢の影響を述べる。体温の性差はないとされるが,正確な測定結果はない。女子では,体温の性周期変動があり,二次化学調節がみられ,男子より代謝量が少なく,皮下脂肪が厚いことなどが熱出納の性差をもたらすとみられる。また女子では発汗が少ないが,汗腺機能も劣る。女子は皮膚の断熱性に優れ,耐寒性が強く,寒冷暴露時の代謝量の増加は少ない。暑熱順化時の発汗活動の増加度は男子の方が大きい。加齢とともに体温は低下傾向を示し,その日周変動幅が狭くなる。高齢者では,温度受容及び温度感覚,求心性・遠心性の神経機能,効果器機能が鈍り,皮膚血流・発汗・ふるえの反応が遅くなるが,個人差が大きい。暑熱・寒冷適応能は加齢とともに,とくに男子で低下する。