抄録
夏期および冬期に、高齢者の日常生活時の温熱環境の実態と生活への影響を検討するため、自宅の寝室温熱環境及び生活行動や睡眠の実態調査をおこなった。対象者は、夏期は奈良市在住の高齢者男女53 名(男性27 名、女性27 名、平均年齢72.7 歳)とし、冬期にはその中から21 名(男性11 名、女性12 名)が調査に参加した。居間および寝室の温湿度計測、温冷感・快適感などの評価を行った。睡眠時の冷房は部屋に設置していても使用しないものが4 割程度で、終夜使用するものは1 割以下であった。暖房器具についてはエアコンやヒーターなどが挙げられているが、暖房機器をまったく使用しない者もおり、室内は住宅温熱環境基準値に比べ著しく夏期は高く冬期は低くなっている者が多かった。しかし、概ね快適な環境であると評価し,容認していることが推察された。