抄録
本研究では、窓周辺での冬型結露およびカビの発生が確認された集合住宅(RC造)の、半地下状の一住戸を対
象とした温湿度の実測を行った。対象住戸は無人であり、人為的な水分発生が生じないが、冬期に室内で湿度
が外気より高く、地盤に近い室ほど湿度が高い傾向があった。地盤と接している壁体からの放湿が原因と思わ
れるが、からの吸湿分の蓄積か地盤からの透湿のいずれなの影響が大きいのかが明らかでないため、地盤との
接触面積が大きい一室を対象として、地盤の熱容量および壁体の熱湿気容量を考慮した室温湿度の解析を行っ
た。地盤と対象室を完全に断湿した解析で実測値を再現できず、地盤から室空気への透湿を考慮した解析で実
測値を再現できた。よって、地盤内の水分の室空気への移動が、冬期の高湿度環境や結露の原因であることが
示された。