抄録
近年、夏季の熱中症搬送者数が増加しているが発生場所の 4 割が住居とされる。また、高齢居住者の割合
が増す高経年の集合住宅(高経年団地)は断熱性能が低いことから、屋外気候の影響を受けやすい居室であるこ
とが容易に予想される。さらに、後期高齢者は前期高齢者よりも身体機能の低下が進むことから、熱中症発症の
リスクは高まると思われる。これまで、熱中症リスクが高く、統一された居住環境にて後期高齢者を対象とした
夏季の温熱環境等の実態調査はみられないことから、横浜市の高経年団地を対象として後期高齢者居住(11 名)
を対象として夏季の室内外の温熱環境、活動量、温冷感等の実測調査を行った。エアコンを使用しても多くの世
帯の居住環境は高温多湿であった。高温多湿な環境にも関わらず涼しい側の温冷感申告もみられたため、自立高
齢者に対しては室内温湿度の可視化など体感に頼りすぎない住まい方も提案する必要がある。